Space Seeds for Asian Future 2013
はじめに
-宇宙での植物観察を通じて宇宙環境への理解を深め、世界の仲間と交流を深めよう-
国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟(以下「きぼう」)で、アジア・太平洋地域の青少年の人材育成への貢献として、植物を宇宙で育てる計画が進められています。
日本の皆さんもこの計画に合わせて、地上で同じように植物を育てて観察し、宇宙から送られてくる映像と比べて、地上と宇宙でどんな違いがあるのか、またなぜそうなるのかを考えてみませんか。そして、その結果を持ち寄ってアジアそして世界の青少年達と交流しましょう。宇宙ステーションではどんなことが行われるのでしょうか >
地上の皆さんにはこんなことをしていただきます >
アジア・太平洋地域を始めとした海外との交流 >
投稿について >
教員/指導員の方へ >
ミッション概要 >アズキの種(豆)を国際宇宙ステーションの「きぼう」に届けます。
そして「水やり」を行い、「きぼう」の中の暗い所に保管します。約7日後に取り出して、芽生えの様子(光があたらないので「もやし」のようになっているでしょう)を観察します。宇宙飛行士が皆さんの目の代わりになって、色々な角度から撮影します。もしもスケジュールが許せば、芽生えを取り出してより詳しく観察したり、茎を引っ張ったり曲げたりして柔らかさや強さの感触も確かめます。
そしてその映像を地上に送り、皆さんが見られるように公開します。「何だ、そんなに単純なことをするだけ?!」と思ってしまいますね。
しかし、宇宙と地上では周りの様子(環境)がとても違っています。特に私たちが当たり前だと思っている重力がありません。
重力はあたりまえ過ぎて普通はそのことを考えたりしませんが、重力が無ければ小さな植物の芽生えだって地上と同じように育つとは限りません。
どこが同じで何かどう違うのかを詳しく観察して、なぜそうなるのかを考え、さらにそれを確かめるための実験をするのはとても大切なことなのです。このSSAF2013ミッションには誰でも参加できます。申込む必要もありません、この文を読んでいるのならば、もう既に参加しているのと同じです。
2013年4月以降に開設する予定のSSAF2013ウエブページに掲載される情報を参考にして、皆さん自身が考えた実験や観察を行ってください。そして、どのような実験を計画したか、どのような工夫をしたか、どんな苦労があったか、どんな失敗をしたか、気づいたこと、もっとこうしてほしいなど世界中の参加者にも役立つような情報や意見をどしどし書き込んでください。また、結果がまとまったらレポートにして投稿してください。宇宙飛行士が皆さんのためにアズキの芽生えを「きぼう」で育てます。皆さんも同じように自分自身でアズキを育ててみましょう。
地上では無重力で育てることはできません。しかし、地上の皆さんは宇宙飛行士よりもずっと多くの条件を色々と試してみることができます。宇宙ではたった一回きりのチャンスですが、皆さんは何度でも繰り返すことができます。無重力はできなくても、横にしたり、さかさまにしたり、特別な装置を作れば上下が分からなくなるようにぐるぐる回しながら育てることだってできます。また、光を当てたり当てなかったりしてその結果を比べれば、面白い現象を発見できるかもしれません。宇宙飛行士よりも先にこのような観察を何回も行ったり、教科書や参考書などを調べたりして、無重力でアズキの芽生えはどのように育つのかを予測してみましょう。
このような予備学習をした後で、宇宙飛行士と同じときに水をやり、同じときに観察して宇宙で育った芽生えと地上の芽生えにどのような違いがあるのかを確かめます。もし必要ならさらに自分で観察を追加してください。そしてその結果をレポートにまとめてください。より高学年の皆さんは、植物がどのように自分の形を作るか、茎や根を伸ばす方向をどのようにして決めているかをより詳しく調べることもできるでしょう。
また、植物の観察とは直接関係ないこと、例えばアズキはどの時代から日本で食べられているの?といった歴史や、なぜ私たちはおめでたい時にお赤飯を食べるようになったの?、今私たちが食べているアズキはどこの国からどのくらいの量を輸入しているの?といった、歴史や文化に関するレポートや、アズキに関する絵やビデオ作品だって大歓迎です。
皆さんのレポートや作品を投稿できるサイトを準備中です。「きぼう」がどれほど優れた研究施設であっても、宇宙でできることは限られています。このSSAF2013ミッションの成功は皆さんの地上での活躍にかかっています。
最初に述べたように、このSSAF2013ミッションはアジア太平洋地域の人たちと一緒に行うものです。アジアだけでなくアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ等から参加する子供たちがいるかもしれません。
このような人たちと交流するためには残念ですが日本語だけでは十分でありません。今の世界で最も共通に通用するのは英語です。国際宇宙ステーションでも主に英語が使われているので、このSSAF2013に関する情報も主として英語で発信します。皆さんのレポートも可能なら、がんばって英語で書いて発表してみましょう。世界中の仲間に読んでもらうことができます。もちろん日本語での書き込みやレポートも大歓迎ですが、できるだけ多くの国の人たちに見てもらえるために英語でのレポート発表にもチャレンジしてください。
皆さんの観察結果のレポートだけでなく、様々な疑問やアイデアをeメールで投稿してください。優秀なレポートはウエブサイトに公開します。
また、皆さんがどのような観察を計画しているか、このような条件を試したらこんな結果が得られた等、他の参加者の参考になる情報も公開します。
さらに、宇宙でこのようなことも調べたいといった要望も大歓迎です。今回は難しくても、次のミッションで実現できるかもしれません。
[ 投稿規程 ]
国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟(以下「きぼう」という)は、日本の科学と技術の高さを象徴する存在として、世界の国々からも注目されています。
このため、この「きぼう」を活用して、日本を含むアジア・太平洋地域さらには世界の未来を担う人材の育成を「きぼう」から進めようと、アジア太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum, APRSAF)の下でKibo-ABCイニシアチブが発足しました。
現在、Kibo-ABCのプログラムとしてSpace Seeds for Asian Future 2013 (SSAF2013)ミッションの準備が進められています。日本国内からもできるだけ若者がこのSSAF2013ミッションに参加され、宇宙環境や生物について学ぶだけでなく、世界を舞台とした活躍に役立つ様々な事柄を経験されることを期待しています。このSSAF2013ミッションの目的を損ねない限りにおいて、参加者や参加形態は自由です。特別な参加申し込みは不要です。今後開設されるウエブサイト等で発表する情報に基づいてそれぞれの学年やその他の事情に適した実験や観察を行い、その経過や結果を発表することがすなわち参加となります。
個人参加はもとより、学校単位あるいはボランティアサークル単位等様々な形態での参加が可能です。学校やグループの場合は生徒さんたちの年齢やその他、条件や事情に応じたプログラムを作って、宇宙からの情報を有効に活用ください。また、例えば、低学年向けに日本語の教材の作成や独自の公開ウエブサイトを立ち上げるといった、他のグループも利用できるような活動も歓迎します。この機会を活用して素晴らしい教育成果を目指すことはもちろんですが、この活動を通じて得られた成果や今後への提言等をフィードバックしていただくとともに様々なメディアを通じて広くアピールしてください。国際宇宙ステーションが最先端の科学研究や一部の特別な人達のためだけに有るのでは決してなく、誰もが様々な形で利用できるものであり、特に将来を担う若い世代の科学に対する興味と熱意を盛り上げる等、多面的で計り知れない用途と価値があることを実感してください。
食用の豆と栽培用の豆の種では処理方法が異なっています。実験用の豆や育てた芽生え(もやし)は食べないでください。アズキを栽培して収穫するためにはかなり技術を要します。この実験用の種子や育てた芽生えを畑に植えてもうまく育つとは限りません。
宇宙実験の実施時期: 2013年秋頃 (※見込み)
種子: アズキ(エリモショウズ)
Vigna angularis ‘Erimo-shozu’軌道上操作:
- ロックウールに種子18粒を埋め込んで乾燥状態で打ち上げる。
- 注射筒を用いて給水し、遮光袋にいれて「きぼう」内で保管する。
- 7日後(未定)に取り出して芽生え状態をビデオカメラで撮影し地上に送信する
- (時間が許せば)芽生えを取り出し、手で曲げたり引っ張ったしして強さや柔らかさの感触をビデオカメラで撮影し地上に送信する。
- (状況が許せば)上記感触を宇宙飛行士が言葉で伝える。
(※打上機のスケジュール等により大幅な変更もあり得ます)
手引き
実験のやりかたを説明したパンフレットです
手引き(PDF:2.3 MB)きぼうでの実験結果
きぼうでの実験進行に合わせて英語ページに掲載します。
Report No. 1 Ground preparation
Report No. 2 Launch and on-board operation procedure
Report No. 3 Watering to start cultivation
Report No. 4 Growth check
Report No. 5 Final observation
参考情報サイト
http://iss.jaxa.jp/en/kuoa/ssaf/ (英語)
http://iss.jaxa.jp/en/kuoa/ (英語)
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/pphys/space.html
大阪市立大学理学部生物学科植物機能生物学研究室